【書評】マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ

【書評】マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ

講談社+α新書【マツダがBMWを超える日 クールジャパンからプレミアムジャパン・ブランド戦略へ】

著者:山崎明
発行:講談社
サイズ:新書(224ページ)
2018年5月18日 初版
ISBN:978-4-06-511938-9

皆さんは、ブランド品は好きですか?



著者は、多くの企業と関わってきた戦略プランナー。

著者の山崎明氏は電通出身の戦略プランナーで、マーケティングやブランディングのプロフェッショナルだが、ブランド論をしっかり学んだことはないとのこと。

だが、トヨタやBMWなど、名だたる大企業のマーケティング・コミュニケーション戦略に関わった業務経験は非常に豊富。本書はそういった経験に基づき書かれたもの。

前半は海外のプレミアムブランドの特徴や強さ、発祥について。後半は日本のブランド戦略の問題点について書かれている。

 

本のタイトルからも分かるが筆者は自動車マニア。それだけに、本書には自動車メーカーのブランド例が数多く登場する。

各ブランドを説明するにあたり、メーカーや車種が生まれるあらすじ、販売や経営の歴史について時系列に沿って描写されており、車好きな人は引き込まれるに違いない。

ちなみに腕時計のブランドが登場することも多いが、略歴欄や「はじめに」のページ内に腕時計メーカーと仕事をした経歴は書かれていない。

もちろん単に記載がないだけなのかもしれないが、それ以前に筆者は腕時計のことも大好きなのだろう。ブランドや製品についてマニアックな描写がなされている。

成功するプレミアムブランドに学ぶ。

「マツダがBMWを超える日」というタイトルだが、ある意味このタイトルは比喩的なものだ。

全224ページの本だが、マツダについての描写が出てくるのはようやく181ページから。要は「日本のブランドが海外のブランドを超える」ことを主題として書かれた本なのだ。

海外のプレミアムブランドがどうして長期間に渡り支持されているのか、熱いファンが途切れないのは何故なのか。そして日本のブランドはどうしてプレミアムブランドになれないのか。

本書を読むとそれらの点が深く理解できる。

 

ブランド確立に成功した色々な海外企業の、戦略や製品展開について発祥まで遡っており、各ブランドに共通するポイントを明らかにしているので説得力がある。確かに日本企業はブランド戦略ができていないと思わされる。

最後には、プレミアムブランドになるために日本企業はこれからどういう方向を目指していくべきか、筆者が考察した具体的なプランも書かれている。

高くても欲しくなる。プレミアムブランドの戦略のうまさ。

僕はあまりブランドには興味がない方だが、それでも街でベンツやアウディを見かけたり、百貨店でロレックスやブレゲを眺めていると、欲しくなる気持ちがふつふつと湧いてくる。

熱狂的なファンはもちろん、僕のように大してそのブランドの知識がない「にわか」の人も魅了できるブランドになれれば、強いのは明らかだ。

本当に欲しくなったブランド品を一つ買った時のあの何とも言えない満足感や高揚感は、多くの人に共通するのではないだろうか。

いかに気持ちよく金を払ってもらえるか。争ってまで手に入れたいと思わせることができるか。ポルシェはそのための方策を憎いほど知り抜いているのである。

(97ページ)

ブランド戦略は、この言葉に集約されると思う。

 

消費者が製品を見る目がどんどん厳しくなっている現代。インターネットですぐに製品や類似品を検索・比較できる。払う値段と得られる効用のバランスを、みんな厳しく考えている。

そうなるとブランド品なんてものは敬遠されやすいんじゃないかと思ってしまうが、プレミアムブランドは高価格でもその品を買いたくなる理由を作るのが圧倒的に上手いのだ。

 

本書を読むと、そのあたりの理屈がよくわかる。新聞や電車にあるブランド広告を、ちょっと違った目で見ることができるかもしれない。

 

その理屈を理解したとしても、いや、その理屈を理解したからこそ、ブランド品が欲しくなる気持ちを持つ自分を再確認してしまうのであった。ブランド戦略おそるべし、である。

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